きずなへ
2000年12月9日(土曜日)於:大和郡山市福祉会館13:30〜16:30
第9回保護者・保育士・教師のための自閉性障害児・者発達講座
主催:社団法人日本自閉症協会奈良県支部における講演レジュメ
遠くは吉野郡や五条から多くの保育士・教師の皆さんの参加がみられた。
「自閉症を理解しよう!」
京都市児童福祉センター総合療育所 村松陽子
(1)自閉症(自閉性障害)の診断
●国際的な診断基準(ICD10,DSM・)によって,対人的相互関係の問題,コミュニケーションの障害,幅
が狭く常同反復的な行動や興味,の3つの領域の特徴によって定義されている。
〜蠍濺な対人交流が困難
視線,表情,姿勢,身ぶりなどを人とのやりとりを調整するためにうまく使えない
友人関係を(発達レベルに見合った形で)作れない
対人交流や情緒の交流における相互性が乏しい
喜び,興味,達成感を人と共有することが少ない
▲灰潺絅縫院璽轡腑鵑両祿
話しことばの発達の遅れ(身ぶりなどで補おうとしない)
会話を始めたり,続けたりすることがむずかしい
同じことばをくりかえし言う,独特のことばの使い方をする
ふりあそび,まねあそびが少ない
6縮や行動の幅が狭く常同反復的
常同反復的な興味に没頭する
決まった行動や儀式にこだわる
常同反復的な運動
物の部分や機能とは関係のない要素にこだわる
●自閉症(自閉性障害)の周辺に同様の特徴を持つグループがあることが明らかになっており,それらを含め
たより広い概念として「広汎性発達障害」や「自閉症スペクトラム」がある。
●自閉症の人の知的レベルはさまざまで重度の精神遅滞(知的障害)を伴う場合から,知的レベルは平均以上
である場合にまでわたっている。知的遅れを伴わない自閉症の人を「高機能自閉症」や「アスペルガー症候
群」と呼んでいる。
リストを行うには、 8ヶ月
●自閉症はかつて稀な障害と考えられていたが,最近ではかなりの頻度で自閉症の人が存在するということが
わかってきた(最近の調査では,典型的な自閉症の人も500人に1人程度いると報告されている)。
●「自閉的傾向」ということばは,心理職,教育関係者,専門医以外の医者などによって使われている場合が
多いが,医学的には,「自閉的傾向」という診断の定義は存在しない。個人的な経験では,自閉傾向と言わ
れている人のほとんどが,「自閉症」または「広汎性発達障害」に相当するようです。
(2)自閉症の特徴を理解する
●自閉症の子どもにとってむずかしいこと
,泙錣蠅寮こΔ何を意味しているのかがわかりにくい
どの情報が大切なの見分けにくい,細部に注目する
物ごとの関係がつかみにくい
目に見えないことを想像することがむずかしい
∀辰靴海箸个陵解がむずかしい
ことばではなく物ごとの流れや,目に見える情報から理解している
ことばを状況と結びつけたパターンで覚える
ことばから意味を取り出すことがむずかしい
抽象的なことばやあいまいなことが理解できない
B昭圓両態や感情がわからない,自分の感情の表現がうまくできない
褒められているのに知らん顔,怒られているのにうれしがる
微妙な感情の理解はとてもむずかしい
とても苦痛なのに普通の顔,混乱すると笑ってしまう
た佑箸里笋蠅箸蠅むずかしい
表情,しぐさ,雰囲気などが理解しにくい
対人的ふるまい,かかわり方がわからない
ジ通しを持ちにくく,特に変化に対応できない
時間の流れを把握しにくい
終わりがわかりにくい
いつもの流れが,変更されることで不安・混乱
睾丸はもっとたるみ始めるのですか?
Υ恭仍彪磴紡个靴篤丹曚僻娠をする
感覚過敏,感覚過多
特定の感覚刺激に苦痛を感じる
Ъ分からのコミュニケーションがむずかしい(自分の気持ちを人に伝えることが困難)
コミュニケーションの手段が限られている(例:ことばがない)
手段は持っていても,人とのコミュニケーションに使うことがむずかしい
●自閉症の子どもの強いところ 〜長所を生かす〜
ゞ饌療なことはよく覚えて理解する
¬椶埜て認知したり記憶することは強い
7茲泙辰織僖拭璽鵑里り返し
すイなことへの集中力
(3)自閉症の子どもの療育における視点
a.環境の意味理解を助ける
ゞ間を整理してわかりやすくする
・余計な刺激を減らす(目に入るもの,耳に入る音など)
・場所と活動を対応させる
・場所の境界,物の置き場所をはっきりさせる(印をつける,ラベルをつける)
∋間の見通しをたてる
・予定は前もって知らせる
・スケジュール(予定表)によって目に見えない時間の流れを視覚的に提示する
一人一人に合わせたスケジュールを作る(文字,写真,絵,具体物)
・一つ一つの活動の中の流れも見通せるようにする
何をするのか,いつ終わるのか,次に何があるのかが目で見てわかるようにする
・カレンダー,時計,キッチンタイマー,砂時計などの利用
・流れを一定にする
b.コミュニケーション
〇劼匹發砲錣る伝え方
・「ことばでわかる」と安易に考えないこと
・ことばかけは,短く,具体的に,明確に
人々はrainsoft水trestmentについて何を言うか
・身ぶりややってみせることを組み合わせる
・視覚的手がかりを使って伝える(実物,絵,写真,文字)
∋劼匹發らコミュニケーションする力を育てる
・コミュニケーションの機会は意図的に作る
いくつかの選択肢から選択してもらう,終わったら報告する,必要なときに援助を求める
・ 話しことばのない人には,替わりとなるコミュニケーション手段(例えば絵や写真など)を積極的
に使っていく
・ことばが話せる人には,どのような場面でどうことばを使ったらいいのか具体的に教える
視覚的手がかり(文字など)の利用
c.長所を生かす,興味を大切にする
・ 強いところ(視覚認知,具体的操作,パターン)を使って,弱いところ(意味理解,コミュニケー
ション)を補う
・特技や趣味に
・好きなことを教材にして広げていく
・ごほうびとして利用する(がんばったらお楽しみ)
d.社会の中でできるだけ自立して機能できるために
・小さい頃から「ひとりでできること」を重視した療育を行う
・環境を構造化することは自立して機能することを助ける
・家事などに積極的に参加(その子の役割)
・地域でもできるだけ自立して行動
e.問題行動について
・自閉症の特徴から考える
ex. かんしゃく
・問題行動を予防するために
見通しを持つ方法を身につけておく(スケジュールが使えるようにしておく)
必要なコミュニケーションができるようにしておく(要求,拒否,注意喚起など)
一人で時間を過ごせる活動を獲得する(余暇活動,家事活動など)
不安な体験や不快な体験は最小限に(できるだけ予測可能な生活を)
〜自閉症についてもっと知るために〜
参考図書
自閉症入門−親のためのガイドブック−: バロン−コーエン,ボルトン著 中央法規 1854円
自閉症スペクトル−親と専門家のためのガイドブック−: ローナ・ウィング著 東京書籍 2400円(税別)
自閉症のひとたちへの援助システム−TEACCHを日本で生かすには−
藤村出,服巻智子,他著 朝日新聞厚生文化事業団(TEL:06-6201-8008) 500円
自閉症療育ハンドブック−TEACCHプログラムに学ぶ−: 佐々木正美著,学習研究社 2400円
自閉症の才能開発−自閉症と天才をつなぐ環−: テンプル・グランディン,学習研究社 2500円
青年期・成人期自閉症の理解とその援助 (社)日本自閉症協会京都府支部 2000円
(京都府支部が行った連続講演会の記録。下記まで郵便かFAXで申し込む。
〒606-8333京都市左京区岡崎法勝寺町82西松栄子 FAX075-771-9065)
はじめの一歩 VISUAL メッセージライブラリーU
新澤伸子著 (社福)横浜やまびこの里(TEL:045-943-9220) 500円
自閉症に関するインターネットのホームページ
日本自閉症協会京都府支部(ASK):
他のサイトにもリンクしています。
ビデオや具体物を使って詳しく説明された。
きずな
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