摂食障害、特に拒食症に対して行う"栄養指導"は、
非常に重要な治療法の一つです。
拒食症は、心理的な原因から食べ物を食べられなくなる病気で、
理想体重の85%以下の状態が3ヵ月以上続く状態。
肥満に対する極度の恐怖心からほとんど食事を摂れなくなってしまうため、
無月経や栄養失調など深刻な症状が出現します。
最悪の場合、死にいたることもあるケースもあることから、
まずは栄養状態の回復を最優先して治療が行われます。
摂食障害での"栄養指導"とは、
食べ方や食べる量を強制するものではありません。
「痩せたい」という願望や「食べて太るのが怖い」という心理状態を受け入れて、
できる範囲で栄養のバランスを整えていくことを目的とします。
摂食障害の治療法における栄養指導は、あくまでも「救命」のために行うもの。
ですから、無理に体重を増やすことはしないようです。
共起性疾患/コミュニティ監督に関する研修
栄養指導によって飢餓状態が改善した後、
徐々に心のケアも含めた本格的な治療に移行していきます。
摂食障害患者への栄養指導はうまくいくのか?
摂食障害で栄養バランスを失っている患者さんへの栄養指導は、
その命を救うという意味で非常に重要な意味を持っています。
しかし、当然のことながら、患者さんは食べることを拒みます。
そのため、摂食障害患者への栄養指導においては
受容的なカウンセリングが欠かせません。
まずは患者の好きな物、抵抗感なく食べられる物から食べるようにしていき、
食物から吸収できるエネルギーを少しずつ増やしていくという方法がとられます。
肥満恐怖になっている摂食障害者の心を"食べる"ことに向かわせるのは、
まさにカウンセラーの"腕"次第!
必要に応じて、高カロリーの流動食や経管栄養法、
経静脈栄養法(要するに点滴)などを利用して栄養改善を目指します。
急激な減量のオプション
過食症の場合は、食事を制限しすぎると
反対に過食衝動を増加させることになってしまいます。
1日の消費カロリーから適切なカロリーを算出し、
「これが自分にとって最適な一回の食事の量なんだ」
…と認識させなければなりません。
それを繰り返すことによって規則正しい生活のリズムもつかめるようになり、
症状は少しずつ回復していくでしょう。
また、専門の治療施設は同じ摂食障害で悩んでいる人たちとの
交流の場でもありますから、
精神的な孤独感を軽減できるというプラスの効果も期待できます。
栄養指導の注意点
摂食障害は心の病気。心理的な治療は必須です。
しかし、栄養状態が悪い"飢餓"の状態では
情緒が不安定になり心理的治療も思うように進められません。
治療をスムーズに進めるためにも、
栄養指導は非常に重要な意味を持っているのです。
減量のラジオ
摂食障害は心理的なストレスが原因で発症しているケースも多いので、
ストレスを食行動の異常につなげることなく
他の適切な方法で解消する方法を
患者と一緒に模索していくことも大切です。
自宅で栄養指導を行っている場合には、
次のことに注意しながら治療を進めましょう。
■本人が食べたいと思うものを否定しないこと
■食べられるものをうまく使って、
一日三食食べられるように動機づけること
■食事を摂ることによって現れる
"良い変化"を見つけてフィードバックすること
■無理にカロリーを摂らせないこと。
本人が希望する場合は、カロリーを正確に表示すること
■手に負えないと思ったら、必ず専門医に相談すること
0 件のコメント:
コメントを投稿